鹿児島エリア
mandai home

【鹿児島市】省エネな注文住宅を建てる際に大切な住宅性能とは?

1. はじめに

全国的に「省エネ住宅」や「ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」が注目を集める中、鹿児島市でも省エネルギー性能を重視した家づくりが主流になりつつあります。
従来の住宅では「デザイン」や「間取り」などが中心でしたが、現在では「性能」が住宅の品質を測る重要な指標となっています。特に鹿児島市のような高温多湿・台風多発地域では、断熱や気密、そして換気といった住宅性能が快適性だけでなく、住宅の寿命や光熱費にも直結します。
このコラムでは、鹿児島市の気候特性や行政の方針を踏まえながら、省エネ注文住宅を建てる上で押さえるべきポイントを詳しく解説します。


2. 鹿児島市における省エネ住宅をめぐる制度背景

2.1 法律・制度の改正と義務化の動き

2025年(令和7年)4月から、住宅を含むすべての新築建築物で「省エネ基準適合」が原則義務化されます。これは、国が進めるカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一環であり、鹿児島市でも建築確認の段階で省エネ性能が求められるようになります。
省エネ基準とは、住宅の断熱性能やエネルギー消費効率などを一定の基準で評価するもので、設計図や建築申請の際に「適合性判定」を受ける必要があります。
これまで「省エネ住宅」は施主が希望すれば選択できるものでしたが、今後は“すべての住宅が対象”になる時代へ移行しており、鹿児島で注文住宅を建てる場合も例外ではありません。
この流れを理解していないと、設計変更や追加コストの発生など、後からトラブルにつながることもあるため、早い段階で制度を理解することが大切です。

引用元:
鹿児島市「改正建築基準法・建築物省エネ法(令和7年4月施行)」

2.2 鹿児島県・鹿児島市が掲げる省エネ住宅の考え方

鹿児島県では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及を県全体の目標に掲げ、2030年度には新築住宅の平均でZEH水準の性能を確保する方針を打ち出しています。
ZEHとは、断熱性能を高め、エネルギーを効率的に使い、さらに太陽光発電などによって消費するエネルギーを「実質ゼロ」にする住宅のことです。
県内では補助金制度のほか、ZEH認定を受けた住宅には固定資産税や融資の優遇措置なども用意されています。
また、鹿児島市は火山灰や高湿度など地域特有の気象条件を踏まえ、省エネ性能だけでなく「健康で快適に暮らせる家」を推進しています。こうした行政の方向性を知っておくことで、住宅会社との打ち合わせでもより実践的な質問ができるようになります。

引用元:
鹿児島県「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」

3. 注文住宅で重視すべき「住宅性能」の基礎知識

高性能住宅

3.1 断熱性・気密性・換気性能=快適・省エネの三大要素

省エネ住宅を考えるうえで、まず押さえておきたいポイントは「断熱性」「気密性」「換気性能」です。
断熱性が高ければ、外気からの熱の逃げ・入りを抑えられます。気密性が高まれば、建物内部の熱を逃さず、また外部からの不要な侵入を防ぎます。換気性能が適切であれば、室内の空気質を保ちつつ、無駄な冷暖房を抑える動きにもなります。
断熱・気密・換気が整っていない住宅では、冷暖房機器をフル稼働させざるをえず、光熱費がかさむうえ、住宅の寿命や健康面にも影響を及ぼします。これらは工務店・ハウスメーカーのブログでは度々言及されていますが、制度としても「住宅性能評価・長期優良住宅」等で省エネルギー性が評価対象となっています。

注文住宅では、設計段階からこうした性能を数字・仕様として確認し、建材・断熱材・サッシ・窓・換気システム・外皮(屋根・壁・床)などを総合的に整えることが不可欠です。

引用元:
鹿児島県住宅・建築総合センター「住宅省エネルギー性能証明書発行制度」

3.2 設備・創エネ・蓄エネも含めた総合性能

省エネ住宅というと「断熱・気密だけ」のように捉えられがちですが、実際には冷暖房システム・給湯設備・照明・換気設備など 建物内設備の効率、さらに太陽光発電・蓄電池・地域熱利用などを含む 創エネ・蓄エネ の要素も核心となります。鹿児島県の資料でも、ZEHが「一次エネルギー消費量の削減+再生可能エネルギーの導入」によって定義されていることが明記されています。つまり、注文住宅において「住宅性能」と言うと、建物の外皮性能(断熱・気密等)+設備性能(冷暖房・給湯・照明等)+創蓄エネ(太陽光発電・蓄電池等)を総合的に捉えるべきであり、これを設計時に明らかにしておくことが、将来の住まいの快適性・経済性・資産価値を左右します。

引用元:
鹿児島県「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

4. 鹿児島市で注文住宅を建てる際のチェックポイント

4.1 設計・建築段階で押さえるべき性能検証

鹿児島市では、新築住宅に対して「建築物エネルギー消費性能適合性判定」を受ける制度や「建築物エネルギー消費性能向上計画の認定」という制度を設けています。このため、注文住宅を建てる際には次のような設計・仕様チェックを行うことが望ましいです。

  • 建築確認申請時に「省エネ基準への適合」の有無を確認。
  • 設計図書・仕様書に断熱材・サッシ・気密シートの仕様が記載されているか。
  • 建物の外皮性能(屋根・壁・床・窓)および設備効率(冷暖房・給湯・換気等)が見える化されているか。
  • 創エネ(太陽光発電等)や蓄電池、エネルギー管理システム(HEMS等)の導入を検討しているか。
  • 気候風土(鹿児島市は南九州、台風・高湿度・暖冬・暑夏)を考慮した設計になっているか。
    これらを契約段階や設計段階で確認・明記しておけば、住み始めてからの光熱費の想定、メンテナンスコスト、快適性、資産価値すべてにおいて安心材料となります。

引用元:
鹿児島市「建築物省エネ法に基づく適合性判定」

4.2 施工・建材・地域特性(気候・風土・災害)を踏まえた選び方

鹿児島市という地域には、台風・高湿度・海風・火山灰など、住まいづくりにおいて無視できない環境的特徴があります。そのため、省エネ住宅を建てる際には、以下のような点にも留意が必要です。

  • 建材・断熱材・防湿防水仕様が、高湿度・海沿い・台風対応を考慮しているか。
  • 風の強さ・海風や塩害を想定した窓・外壁仕様になっているか。
  • 高気密仕様であっても適切な換気設計(湿気・カビ対策)を併せて考えているか。
  • 台風時・地震時の復旧・エネルギー供給が途絶えた際の備えとして、創蓄エネ・自立電源を検討しているか。

これらを踏まえると、鹿児島市で注文住宅を建てる際、「ただ断熱が良い」「気密が高い」というだけではなく、地域特性を踏まえた上で “その住宅性能が実際に機能するか” を確認することが肝要です。

引用元:
鹿児島市「建築物省エネ法 認定制度」

5. 将来を見据えた住まいとしての省エネ住宅設計

5.1 長期優良住宅・住宅性能評価制度との関係

長期優良住宅の認定を受けると、省エネ性能に加えて耐震性・劣化対策・維持管理のしやすさなどが評価され、資産価値の高い住宅として認められます。
住宅性能評価書を取得することで、住宅ローンの金利優遇や税制上のメリットも得られるため、建築時のコスト以上の長期的な利益を得ることができます。
性能評価は設計段階から準備が必要なため、省エネ性能と併せて早めに検討しておくのが理想です。

引用元:
鹿児島県住宅・建築総合センター「住宅性能評価・長期優良住宅」

5.2 光熱費・メンテナンス・資産価値という視点

省エネ住宅を建てる最大のメリットの一つは「光熱費の抑制」です。断熱・気密・高効率設備・創蓄エネの組み合わせによって、住み始めてからのランニングコストを低く抑えることが可能となります。
また、住宅性能が高いと、修繕・交換の頻度が下がる、耐久性が高い、快適性が維持しやすいというメリットがあります。長期視点で見れば、建築時にややコストをかけたとしても、トータルのライフサイクルコストで“お得”になるという考え方もあります。さらに、鹿児島市・鹿児島県では省エネ住宅を促進する制度が整いつつあり、将来的な制度変更・住宅政策の流れを考えると「高性能住宅であること」が住宅価値を下支えする要因になり得ます。

引用元:
鹿児島県「住宅省エネルギー性能証明書発行制度」

6. 制度活用と補助・メリット(鹿児島市・県)

鹿児島県では、ZEH関連の補助事業が紹介されており、住宅を建てる際に “省エネ住宅仕様” にすると、補助の対象になるケースがあります。また、鹿児島市では新築住宅に対する省エネ基準適合やエネルギー消費性能の適合性判定など、行政の手続きや制度を通じて、住宅性能を確保する枠組みが整備されています。

注文住宅を検討する際には、こうした制度・補助・認定を事前に押さえておくことで、コスト・手続き・住宅性能の確保という観点から安心して住まいづくりを進められます。

引用元:
鹿児島県「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」

7. おわりに

鹿児島市で省エネな注文住宅を建てるということは、単に「断熱が良い」「エコ設備を付けた」というだけではなく、制度的な適合・地域の気候風土・資産価値という観点を含んだ総合的な住宅性能を備えることを意味します。制度の義務化・義務化に向けた法改正も進んでおり、市・県ともに省エネ住宅を標準へと引き上げようとしています。
注文住宅を建てる際には、設計段階から「いかに快適・省エネ・将来価値がある住まいにするか」をプランナー・設計者・施工者と一緒にじっくり検討してください。住宅性能を正しく押さえた住まいづくりが、快適な暮らしと環境・家計にやさしい未来をつくります。ぜひ、鹿児島市での注文住宅を検討する際には、本稿をチェックリストとしてご活用ください。

コラム