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注文住宅の気密性を高めよう!換気との関係性や鹿児島市周辺の気候情報を紹介

はじめに~住宅性能の重要性と気密性~

 住宅の省エネルギー性能が注目される中、注文住宅において断熱性と並んで重要なのが気密性です。気密性は、断熱材が持つ効果を最大限に引き出し、一年中快適な室温を保つための土台となります。断熱材が家を「ダウンジャケット」のように包む役割だとするならば、気密性は「隙間を塞ぎ、性能を保持する」役割を果たします。

そこでこのコラムでは、気密性の指標であるC値の解説から、適切な換気計画、そして鹿児島市周辺の気候特性を踏まえた快適な住まいづくりに役立つ情報をご紹介します。

1.気密性とは? C値(相当隙間面積)の理解

 気密性とは、建物にどれくらいの「隙間」があるかを示す性能です。この性能を表す指標として最も一般的に用いられるのが、C値(相当隙間面積)です。

  1. C値(相当隙間面積)の理解と気密性のメリット

 C値は、「建物全体の隙間の合計面積を延床面積で割った数値」(単位:㎠/㎡)で、数値が小さいほど高気密であることを示します。高気密住宅の目安はC値1.0㎠/㎡以下、高性能な家では0.5㎠/㎡が目標とされます。

家が高気密になると得られるメリット

・冷暖房効率の向上と光熱費の削減: 隙間風による熱の出入りを防ぎ、冷暖房の効きが良くなります。

・温度のバリアフリー: 部屋間や上下階の温度差が小さくなり、ヒートショックのリスクを軽減します。

・結外部からの汚染物質の侵入防止: フィルターを通さない隙間からの花粉やPM2.5などの侵入を防ぎます。

1-2. 気密性が低い家が抱える問題点

 気密性が低い家は、高性能な断熱材を使っても効果が半減します。隙間風による不快感や、冷暖房の効きが悪くなることで光熱費が増加します。さらに、隙間から侵入した外気が壁の内部で結露(内部結露)を引き起こし、カビの発生や建材の腐朽を招き、建物の耐久性を低下させるリスクがあります。

出典:(一財)建築環境・省エネルギー機構(IBEC)

出典:(一社)日本建築学会

2.気密性と換気の切っても切れない関係 

 現代の住宅において、「高気密」と「計画換気」はセットで考える必要があります。2003年の建築基準法改正により、すべての新築住宅に24時間換気システムの設置が義務付けられました[2]。これは、シックハウス症候群の原因となる化学物質や、生活で発生する二酸化炭素などを排出するためです。

2-1. 計画換気を成立させるための高い気密性 

 換気システムは、設計通りの給気口と排気口を通る経路で空気の流れをコントロールすることで、室内の空気質を適切に保ちます。しかし、気密性が低いと、換気システムが稼働していても、給気口以外の予期せぬ隙間から空気が大量に入り込み、計画通りに汚れた空気を排出できなくなります。つまり、換気効率を最大限に高めるためには、高い気密性が不可欠なのです。

2-2. 24時間換気システムの役割と熱交換

  換気システムにはいくつかの種類がありますが、高気密住宅では、換気量を制御しやすく省エネ効果が高い第1種換気システム、特に熱交換型換気システムの導入が推奨されます。

熱交換型換気は、排気時に室内の熱や湿気を回収し、外から取り込む新鮮な空気に移す仕組みです。これにより、冷暖房で快適にした室温を保ちながら換気ができるため、換気による熱損失を大幅に抑え、エネルギー消費の削減に大きく貢献します。高い気密性があるからこそ、この熱交換の効果が最大限に発揮されます。

3.注文住宅で気密性を高める具体的な方法 

住宅性能

 気密性は、設計図面上のスペックだけでなく、現場での施工の精度に大きく依存します。

3-1. 施工技術と工務店選びの重要性

 C値は住宅の完成後に気密測定を行うことで確認できます。高気密住宅の実績があり、C値の目標値を明確にし、測定を実施する体制が整っている工務店や住宅メーカーを選ぶことが重要です。

3-2. 隙間を防ぐ施工ポイント

 気密性の確保は、現場での丁寧な施工にかかっています。特に注意が必要なポイントは以下の通りです。

・気密シートの連続性

 壁、床、天井に貼る防湿・気密シートを、途切れることなく施工し、建物を隙間なく包み込みます。

・テープ・シーリングによる隙間封鎖

 シートの継ぎ目や、電気配線・配管などが壁を貫通する部分など、全ての隙間になり得る箇所に、気密テープや気密シーリング材を使用してしっかりと隙間を塞ぎます。

3-3. 窓やドアなどの開口部の工夫

 開口部は熱の出入りが大きく、隙間ができやすい場所です。断熱性の高い樹脂サッシや高性能な複層ガラスなどを採用し、窓自体の性能を高めるとともに、取り付け部の気密施工を徹底することが重要です務です。

4.鹿児島市周辺の気候特性と高気密住宅の必要性

 注文住宅の設計において、その土地の気候特性を考慮することは非常に重要です。ここでは、鹿児島市周辺の気候と高気密住宅の関連性を見ていきます。

4-1. 鹿児島市の気候の特徴

 鹿児島市は、太平洋側気候と内陸性気候の影響を受ける地域で、以下のような特徴があります。

・夏: 猛暑日が多く、気温が高いだけでなく、湿度も高い高温多湿な気候です。

・冬: 盆地の影響もあり、朝晩の冷え込みが厳しくなることがあります。

特に、高温多湿の夏と、朝晩冷え込む冬の両方への対策が必要です。

4-2. 鹿児島の気候における高気密住宅の役割

 鹿児島の気候下では、高気密住宅は次のような大きなメリットがあります。

年間を通じた湿気対策

 高気密化により、隙間からの高湿度の外気の侵入を防ぎ、計画換気と除湿を効果的に行うことで、カビやダニの発生を抑制し、内部結露のリスクを低減します。これは、年間を通じて湿度の高い鹿児島では特に重要な点です。

冷暖房効率の向上

 夏は熱と湿気の侵入を、冬は冷気の侵入を抑えるため、冷暖房効率が向上し、一年中安定した快適な室内環境を実現します。

 つまり、鹿児島市周辺で快適かつ健康的に暮らすためには、断熱性と気密性を両立させた「高気密高断熱住宅」の検討が最適解の一つとなります。

出典:気象庁

出典:環境省

まとめ~快適で健康的な住まいを実現するために~

 以上のように、注文住宅における気密性の確保は、単に「隙間をなくす」というだけでなく、住まい全体の快適性、健康、そして省エネ性能を左右する大切な要素です。

 家づくりの際に気を付けるとよいことを次にまとめましたので、ご参考にしていただければと思います。

・C値は少なくとも1.0 ㎠/㎡以下、可能であれば0.5 ㎠/㎡以下といった具体的な目標値を定め、必ず気密測定を実施してもらいましょう。

・高い気密性を土台とし、高性能な熱交換型換気システムを導入することで、エネルギーを無駄にせず、常に新鮮で快適な空気環境を保てます。換気システムも同時にチェックしてみましょう。

・計画通りの気密性を実現できるかどうかは、最終的に工務店の施工技術にかかっています。実績と技術力のあるパートナーを選ぶことが成功の鍵です。

 鹿児島市の気候特性を考慮しても、高気密高断熱住宅は、一年を通して快適で健康的な生活を送るための有効な手段です。鹿児島の高温多湿な気候に適した高気密高断熱住宅で、後悔のない快適な家づくりを実現してください。

 また、万代ホームでは、高気密高断熱にこだわった家づくりをしています。実績も豊富ですので、これから家づくりを始めたいと考えておられる方はぜひお気軽にご相談ください。

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